今回のブログ記事でも木造住宅専門メーカー「住友林業」の構造について取り上げていくぞい。
前回の記事では住友林業の「ビッグフレーム構法」について解説したので、今回は住友林業が手掛けるもう一つの構法「マルチバランス構法」についてフォーカスしていこう!
住友林業 マルチバランス構法の特徴
マルチバランス構法ですか。確か、ビッグフレーム構法のほうが新しい技術で近年では住友林業はビッグフレーム構法を主力商品に採用しているんですよね?
そうじゃな。住友林業はどちらかというとビッグフレーム構法のほうをプッシュする営業方針のようじゃ。だがマルチバランス構法も耐震性能が高い優れた技術じゃ。希望の間取りやプランによって、ビッグフレーム構法かマルチバランス構法のどちらが適しているかが変わるのでどちらの特徴も知っておいて損はないぞい。
どんな間取り条件なのかで、適した構法が変わるのか!じゃあとりあえずマルチバランス構法がどんな特徴なのか教えてください!
ビッグフレーム構法が「ラーメン構造」を応用した構法であるのに対し、マルチバランス構法は日本家屋に古くから活用されている伝統的な「木造軸組み構造(在来工法)」に最新技術を組み合わせて応用した構法なんじゃ。
どのような最新技術を使っているんでしょうか?ワクワク
マルチバランス構法に活用されている最新技術で注目するポイントは「スーパー檜(ひのき)」「剛床パネル」「きづれパネル」の3つじゃな。
マルチバランス構法 スーパー檜(ひのき)
じゃあ順番にいきましょう!まずはスーパー檜(ひのき)ってなんですか?
スーパー檜ということは、檜が凄まじい怒りによって覚醒したってことですか?!
どこぞの戦闘民族じゃないんじゃよ…。スーパー檜とは、住友林業のマルチバランス構法専用の構造用集成材のことじゃ。
普通の檜よりも高品質な「国産の檜」を使用した構造材で、ラミナと呼ばれる集成材を構成する板材を含水率15%以下まで乾燥させ、結合力の強いフィンガージョイントにより一本の柱に加工したものじゃ。優れた強度と耐久性を持つ優秀な建材を使っているということじゃな!
ちなみに北海道では、スーパー檜の代わりに北海道産の木材である「スーパーカラマツ」を使っておるのじゃ。
スーパーカラマツってことは、おそまつさんに出てくるカラマツが怒りによって覚醒した…?
木材建材の話じゃよ…。怒りで覚醒とかはしないんじゃ。木材だから。
マルチバランス構法 剛床パネル
ハイ、んじゃ次に剛床パネルについて教えてください。
うむ。剛床パネルもマルチバランス構法の採用される特徴的なパーツじゃな。剛床パネルは厚さ24mmとなり非常に剛性が高いものとなっておる。
建物の耐震性を高めるうえで、壁や柱にばかり注目しがちじゃが「床」も耐震性に大きく関わる部分なんじゃ。
地震は「縦揺れ」ばかりではなく「横揺れ」もある。横揺れの力は水平面である床を通じて、柱や壁に力が伝わるため、床の剛性が低いと床が(湾曲)変形してしてしまい建物に局部的に大きな負荷がかかる場合がある。だから床の剛性も大事なんじゃ。
耐震性を高めるには床も大事なんですね。
マルチバランス構法 きづれパネル
じゃあ、次にきづれパネルってのはなんですか?
うむ。きづれパネルというのはマルチバランス構法で採用されている特殊な「耐力壁」のことじゃ。構造躯体の外周部にぐるりとギザギザというか、格子状のパネルがくっついておるんじゃ。
本当だ。なんか格子状でオシャレですね。
まぁ完成してからは見えないんですけどね。
あれ?でもマルチバランス構法って「木造軸組み構造(在来工法)」を応用した構造って言ってませんでしたか?在来工法って「柱と梁で支えるタイプ」の構造ですよね?なのに耐力壁もあるんですね。
良いところに気付いたのう!そうじゃ、マルチバランス構法は在来工法をもとにしており、在来工法は「柱と梁」で建物を支えるタイプ。じゃが、さらに耐震性能を高めるために「耐力壁」も採用しておるんじゃ。つまり、マルチバランス構法は「柱と梁と耐力壁」で建物の荷重を支えているということじゃな。
耐震性には期待できそうですね!でも、なんでこれギザギザなんですかね。
少なくとも格子状にしてあることで重量はカットされとるな。実際、きずれパネルは同サイズの構造用合板に比べて重量は30~40%カットされているのにも関わらず、剛性は1.3倍の強さがあるのじゃ。
建物というのは重ければ重いほど地震の影響を受けやすいので、重量をカットしてあるだけでも耐震性能が向上するんじゃ。ま、とにかく住友林業の独自のテクノロジーが詰まっているんじゃろう。
すごいですね!マルチバランス構法の話を聞いてるとビッグフレーム構法にも全然劣っていないように思います。
マルチバランス構法とビッグフレーム構法 結局どちらがオススメか?
ちょっと突っ込んだこと聞いちゃいますが、住友林業のビッグフレーム構法とマルチバランス構法って、結局のところどっちがオススメの構法なんですか?
単純比較は難しいのう。ちなみにどちらも標準仕様で耐震等級は最高等級3じゃ。さすが高級ハウスメーカーじゃの。
でどっちがオススメか?って話じゃが、これは「人による」としか言えないんじゃ。
じゃあ具体的に「マルチバランス構法がオススメな人」と「ビッグフレーム構法がオススメな人」を教えてほしいポン!
急に語尾にポンとか言い出した…。キャラ付け必死だな…。。
まず比較するとすれば価格じゃな。ビッグフレーム構法のほうが、基本的には坪単価が2~3万円ほど高いのじゃ。じゃから、「とにかく少しでも安く!」と考えている人はマルチバランス構法も選択肢になるはずじゃ。
価格は少しマルチバランスが安い、と。
ただし細かく部屋数を分ける場合(間仕切りが多い間取り)は、マルチバランス構法の方が割高になる場合もある。
前にも解説したが、ビッグフレーム構法はドーンと広いリビングや大開口の窓などが得意なんじゃ。じゃからそういう広々とした間取りが好みならビッグフレーム構法がオススメじゃ。一般的な間取りで少しでも費用を抑えたい場合はマルチバランス構法がオススメじゃな。
まぁ正直、ビッグフレーム構法かマルチバランス構法かの選択肢については、実際に間取りプランを相談している時に担当者がオススメの構法を教えてくれるじゃろうからそこまで自分で考える必要はないじゃろう。
教えてくれてありがとうポン!
あ、もう語尾はポンでいくんだ…。
マイホームは人生でもっとも高額で大切な買い物です。誰もが絶対に失敗したくないと考えているはずなのに失敗・後悔した例は後を絶ちません。
それは「スペックの比較が足りない」からです!
マイホームに限らず、例えばTVやパソコンなどの家電製品を買う時でも「どのメーカーが性能が良いか?」「価格が安いか?」「保証が長いか?」必ず比較しますよね?
家電はこれまでに買う機会も多く、どの性能を重視すれば良いかなんとなくわかりますがマイホーム購入はほとんどの人が初体験。なにを重視すべきかわからず「モデルハウスに見学に行ったらすぐ気に入っちゃった」「なんとなく見た目で決めてしまった」というケースが非常に多いのです。
ハッキリ言ってマイホームは見た目だけでは性能まではわかりません。皆さん見た目でわからない性能面で失敗・後悔しているケースが非常に多いのです。
マイホームはこの先何十年と住むものです。
見た目のデザインももちろん大事ですがもっと大事なことを見落とさないでください。安全で快適なマイホームを建てるために大切なことは耐震性・断熱性・気密性・遮音性・耐久性・メンテナンス性・空気環境など、要するに「住宅性能」です。
そして性能を比較するために役立つのが無料でもらえる「住宅カタログ」です。少なくとも5社は無料カタログを見比べてください。
と、いうのも住宅性能については営業マンに口頭で質問するだけじゃ甘いからです。
ハウスメーカーの営業マンのことを悪く言うわけではありませんが、営業マンは住宅性能に関する質問にはだいたい「もちろん大丈夫ですよ!」と自信満々に答えます。これは住宅性能にたいして力を入れていないハウスメーカーの営業マンであっても、です。自信満々にこう言えるのは家が快適と感じるかどうかは「個人差があるから」です。引渡し後にクレームを言っても「個人的感覚までは責任を持てないですよ」と言われてはもうどうしようもありません。
だから「カタログスペックで比較することが大事」なんです。
公式カタログに記載されている情報に嘘はあり得ません。
それに複数社の住宅カタログを比較することで、あなた自身が建てたいスペックのマイホームが『だいたいいくらで建つのか?』という相場観も養われますし、理想のマイホーム像もしっかり固まってくるはずです。
そして複数の住宅カタログを比較し相見積もりを取ることは本命ハウスメーカーとの最終的な価格交渉の局面でも必ずあなたに有利になります。あいみつを取り「価格差があって迷っている」と伝えれば本命ハウスメーカーも、最後の最後で競合他社にお客様をとられてしまうくらいなら少しくらいの値引きに応じる、というケースは多いです。いずれにしても注文住宅のマイホーム計画において『複数社を比較した経験』は必ず役に立ちます。
無料の住宅カタログを比較することはマイホーム計画で絶対に欠かせない大切な「第一歩」。
大事なマイホーム計画で絶対に失敗しないために、ハウスメーカー選びは必ず「カタログスペック」で比較してください。
今回の記事をまとめると
- マルチバランス構法は住友林業の独自開発の構造
- 在来工法を応用した構造
- 柱と梁にプラスし、きづれパネルで耐震性を向上
- 耐震等級3を標準装備
- ビッグフレーム構法よりもやや安い(坪単価-2~3万円ほど)
積水ハウス
セキスイハイム
ダイワハウス
へーベルハウス
三井ホーム
三菱地所ホーム
パナソニックホームズ
スウェーデンハウス
少し価格帯が安いメーカー
一条工務店
トヨタホーム
住友不動産
タマホーム
住友林業は自由度の高い間取り設計や高級感のある外内装などが人気の木造専門ハウスメーカーです。同じく間取り設計の自由度が高く高級感のあるデザインを得意とするハウスメーカーとよく比較されています。
また、住友林業は高級ハウスメーカーとも言われるとおり、価格帯は競合他社よりも少し高めです。「もう少し価格帯を抑えたハウスメーカーとどこがどう違うのか?」も比較しておくのがオススメです。
競合ハウスメーカーと住宅カタログを見比べることで「今までとは別の大事なポイント」が新たにわかることもよくあります。住友林業を候補にしている方は、少なくとも上記のハウスメーカーとぜひ比較しておいてください。
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